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1週間の日本滞在を終えて2日前に帰国しました。
朝から晩まで予定を詰めてしまって、家にいた時間から睡眠時間を引くと計10時間にも満たないようなあわただしい旅となってしまったが、総じて良い出会いに恵まれた、充実した1週間だった。

今回の日本帰国の一番のハイライトは、ラプロパックというプラスチック成型会社を訪問できたことだ。
(詳しくはKopernikのブログをご覧ください)

あまりに感動ポイントが多くて、なかなか一言でまとまらないのだが、たぶんそれは、ラプロパックの皆さんが見ている世界が、確かな実感を伴ってホンモノだったからだろう。

例えば世界を変えるデザインにも登場するQ Drumの実物を見せた時のこと。
「どこを変えたらコスト(現状65ドル!)が下げられるんでしょうね~。」という質問に、すぱすぱっとものの5分で、矢継ぎ早に問題点と改善案を指摘された。本当にシンプルな改良だけでコストが半分以下になるとのこと。
「あぁ、プロの方だ。」と背中がゾクゾクした。

続いて、工場を見学させていただいた時のこと。チリ一つなく、きれいに整理整頓された工場。広範囲にわたって目配りをしながら、黙々と働く工場の従業員の皆さん。一目で、ここは良い工場なんだとわかった。
1気圧の中で吸引して行う真空成型は真空成型の分野の中でも、いまだに製造過程に機微がある分野なのだという。(高気圧で押し付けて型取りをする真空成型は、製造機械のほうにはノウハウが詰まっていても、製造工程は誰がやってもだいたい同じものができるそうだ。バリューが機械メーカーのほうにシフトしてしまった、ということ。)
型も、一つ一つ、微妙に手直しをしていた。

何気なく、工場の従業員さんと会話をしていた時のこと。「将来、アジアなど発展途上国向けへのビジネスをされてみたい、とお考えになることはありますか?」との友人の質問に、淡々と従業員さんが答えた。
「いえ、この世界では、もう中国や台湾に太刀打ちできません。国内向け製品だとまだなんとかやれますが、コストがぜんぜん違う。。。中国の製造力はすごい。向こうの人の熱心度合いも桁違い。
今、息子には、将来海外で働けと言っているのです。日本の商社や大企業に入ったところで、先は見えていますから。」
その淡々な言葉ぶりに、私は、逆に言葉も出なかった。この人の見ている世界は、本物だ、と思った。
私が「日本の技術ってすごいかもしれない。」とおおまかに思っているのと違って、高い目線と深い思慮によって、本物の世界を見ている、と。
「でも、この技術で、ほかの国の発展の手助けができるならぜひしてみたいですね。機械を提供したり、技術指導をしたり、協力できることがあればぜひしたいです。」とその方は、静かに、とてもおだやかな表情で付け加えた。

社長さん曰く、何十年も前から、アジア各国のプラスチック工場に行っては技術指導をしているそうだ。
私もいわゆるBOPビジネスから開発の世界にかかわり始めた人間だから、人のことは言えないけれど、
日本の大小さまざまなメーカーが、目に見えないところで育ててきたアジアのたくさんのたくさんの人材や、寄贈してきたたくさんの機械のことを思ったら、「BOPビジネス」なんて言って騒いでいる昨今の様子が恥ずかしくなった。
これから、少しでもビジネスを通じた貧困削減を看板に掲げて仕事をすることがあったら、必ず、必ず、これまで地道な技術移転の活動を続けてこられた方に恥じないだけのことをできるようになっていなければ、と心に誓った。

(いつか詳しく書きたいと思い続けて書けていないけれど、正直、今のところ、私にはそこまで心底すごいと思えるBOPビジネスモデルが見つかっていない。これからも見つかるかどうか、わからない。でも、見つかるまでは絶対にキーワードに流されて、「BOPビジネス」なるものを始めてはいけないと思っている。自分をごまかさないといけなくなるくらいのインパクトしか出せないなら、100%開発に打ち込むか、100%ビジネスをするほうがよっぽどましだ。一連のD-Labの話も、正直、今のところは目的の8割がたは、適正技術教育を通じた人材育成だと思っている。)

ここの社長さん、『世界を変えるデザイン』の大ファンでもあるそうだ。
社員全員のみならず、近所の歯医者さんにまで本を配ったらしい。(そして、その歯医者さんは近所の小学校にまで本を配っているらしい。)
帰り道、「少しだけ寄り道をしていいですか?」との社長さんの一言に、どこに行くのかと思っていたら、近所の歯医者さんに案内された。
「あの本に載ってるQ Drumが目の前にあるよっ。」と、社長さんが呼びかけたら、歯医者さんが治療用の手袋をしたまま飛び出してきた。看護婦さんともども、「へえー。」とか「ほおー。」とか言いながら、しげしげと商品を眺めている。
「これがアフリカで使われてるのかあ。」
「そうかあ。向こうの国には、こういうものもないもんな。」
「すごいー。」「うわー。」
ひとしきり歓声が上がる。
数万キロ離れたアフリカの砂漠の風景が、突然実感を持って浮かんでくる。

そうか、、、人が触ったり試したりできる「モノ」にはこんな力もあったのか。
モノに触れる。それを使う遠い世界の人のことを想像する。
その一瞬が、日本の下町の歯医者さんと、アフリカの子供をつなぐ。時間を越えて。空間を越えて。

全くなんのロジックもないけれど、私はもう少し、「技術」と「モノ」にこだわって、途上国開発とビジネスをつなぐ問題に取り組もうと思った。



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