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高貴なコドモ

2011/01/04 Tue 16:35

去年の11月末の感謝祭の頃、無性に西海岸を抜け出したくなって、ワシントンDCに遊びに行った。DCには、人生の節目節目で散々お世話になっている方が移り住んでいた。

その頃、公共政策大学院からビジネススクールに移って、そのカルチャーギャップに苦しんでいた私は、公共性と利益追求の狭間で将来の進路に悩んでいた。
課題で見ると、ケネディで議論されている内容のほうに、より共感できる。世界で起こる紛争や、国づくりの難しさや、世界に電気や水を届けるほうが、次のiPhoneアプリを作るよりも大事な気がする。
一方で、アプローチはというと、スタンフォードで会う人たちのほうが、わくわくさせられる。あの学校に出入りする起業家やベンチャーキャピタリストたちのクールなこと。話し方もアイディアもまとっている空気も、実にかっこよすぎて、一生かなわないよ、と思わせられる。でも、そんな人たちの才能は、「このビジネス、当たるか当たらないか?」というところにすべて割かれている。
ううむ。

「一旦ビジネススクールに移ってみると、別のことにもわくわくしちゃって、どれだけ真剣に自分が国際開発の課題に向き合っていたのか、自信がなくなるんです。本当に発展途上国のことを真剣に考えていたのだろうか、と。」とDCに住む人生の先輩に相談をしてみると、
「いままで取り組んできたことすべてに共通する、原動力のようなものはなに?」と聞かれた。
うむ。。。

アジサイの自由研究に夢中になった中学生の頃、化学部の実験に没頭した高校生の頃、研究室に入り浸りだった大学生の頃、会社に入って、にわかに人・組織に興味が出てきた頃、国連で働いて社会のしくみをがぜん勉強したくなった頃、、、きっとすべてを動かしていたのは、好奇心だったのだろうな、と思い至った。
自然界を、人を、社会を知りたいという気持ち。問いがあったら、解きたくなる気持ち。

思えば、See-Dもそういう思いで始めたのだった。社会課題を好奇心で持って解いてみたい。「大事な問題だから解決せねばならぬ」ではなくて「なんだか楽しそうだから、ついつい解きたくなっちゃう」ような環境を作りたい。

------

年の瀬も迫る12月28日、See-Dでお世話になっている方に連れられて、私も半日ばかり、「Creation」(というか工作)なるものをしてみた。使ったのはペットボトルとスポンジ。作ったのは、水が落ちると光る水時計。使った原理も出来上がった物もとてもシンプルだったけど、「こんなのあったらいいな。」を実際に自分で形にできるとは思っていなくて、できた時は自分でもびっくりするくらいに感動した。

化学科を卒業して5年。もう一生、モノを創ることはできないんじゃないかと思っていた。絵心も工作能力もなく、工学もわからない私にはきっと無理、、、と自分の中で見えない壁を作っていた。でも、そうではない、そんなことはぜんぜんない。誰でも、なろうと思えばクリエイターになれるのだ。その事実に、ここでは表現できないくらいに衝撃を受けた。

See-Dでもとってもお世話になっているMIT D-Labの遠藤謙さん(MIT Media Labで義足を研究中)は、いつもプレゼンで、彼の師匠であるHugh Herrの言葉を紹介する:
「身体に障がいを持つ人なんていない。ただ技術に障がいがあるだけだ。」
同じくMIT D-Labでお世話になっているJose(途上国向け医療機器を開発中)は、途上国に住むユーザー自身が開発者となれるようなツールを作りたい、と言う。事実、途上国の医師や看護士が自分で医療機器の改良・開発を進められるようなキットの開発に取り組んでいる。
同じくMIT発で、「ものづくりの民主化」を目指しているFabLabは昨年、日本にもできた。(FabLabはすでに世界の十数カ国で普及中。)

テクノロジーは、ずっとずっと昔から、人をエンパワーするための道具だったのだ、と改めて気付かされた。

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前述の、DC在住の人生の先輩。国際開発の本流の現場で働いているが、日々の活動の一番の原動力となっているのは、「人が心の中に作っている壁を取り除くこと」だそうだ。
すべての紛争は、A国の人が、過去の歴史や家族を殺された恨みを乗り越えて、B国の人のことを受け入れられるようにならないと解決しない。アフリカの貧困問題は、世界の多くの人が自分にも関わる問題だと認識しないと、解決が加速しない。世の中のほとんどすべての問題は、各人がそれを自分の課題ととらえて行動をとらない限りは、解決に向かわない。
いかに人の心の壁を取り除くか。「自分には関係ない。」「自分にはできない。」「自分には受け入れられない。」・・・これらの心のキャパシティを拡げる事が、結局は諸々の課題解決につながる。 
(と、少なくとも話を聞いた私はそう理解した。)

See-Dでも、かかわる人すべての、心の壁を取り除くお手伝いがしたい。元来、誰もが持っている好奇心を取り戻すお手伝いがしたい。
「私には関係のない世界だから」「私にはとてもできないから」を乗り越えて、すべての人が「課題を見つけ出して、解決策を創り出せるクリエイター」になれる世界を創りたい。「エンジニア」とか「デザイナー」とか「ユーザー」とか「開発者」とか「先進国」とか「途上国」とか、そういう垣根をすべて乗り越えて、みんなでわくわくするCreationができる、そんな世の中にしたい。

司馬遼太郎のエッセイに「高貴なコドモ」という一遍がある。(全文はこちら
一部だけ引用すると、、、
「人間はいくつになっても、精神のなかにゆたかなコドモを胎蔵していなければならない。でなければ、精神のなかになんの楽しみもうまれないはずである。(中略)職業として芸術家や学者、あるいは創造にかかわるひとびととは生涯コドモとしての部分がその作品をつくる。その部分の水分が蒸発せぬよう心がけねばならないが、このことは生活人のすべてに通じることである。万人にとって感動のある人生を送るためには、自分のなかのコドモを蒸発させてはならない。」


世界のすべての人が高貴なコドモ心を持てますように。
そんな願いを込めて、今年もSee-Dでタネ作りを続けます。
(ああ、とはいえ、本業であるMBAでは、ちゃんとオトナ的勉強も続けます。経済にビジネスに。がんばります。)


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未分類 | コメント(6) | トラックバック(1)
コメント
No title
高貴なこどもか。いい言葉ですね。
無邪気なオトナとか遊び心とかは意識したことはあったけど。

今年もオトナ的勉強に心をくすぐる”遊び”にお互い頑張りましょ。
Re: No title
お、Fukuiさん、コメントありがとうございます!
今年もお互いがんばりましょ~。お話しすると刺激になるので、またぜひぜひ情報交換させてください。
キラキラの圧倒力でした。
身体ではなく技術に障がいがあるだけ。
人の心の壁を取り除く。
自分の中のコドモを蒸発させてはならない。

これらの言葉と本文に込められている意識の高さに圧倒されました。
周りにいる方も、みなさん素敵ですね。
羨ましいです!
Re: キラキラの圧倒力でした。
コメントありがとうございます!ぜひHare_soraさんも仲間に加わりませんか?(笑)
とてもオープンなコミュニティーです。よかったら今度のミーティングにお呼びします。
理系も工作も苦手ですが…
わ、お誘いありがとうございます。
理系でもなく工作もできない超不器用文系人間なので、できることといえば…イベントレポート書かせてください(笑)
一般ピープルの目で見て伝えることなら、私にもできそうです!
Re: 理系も工作も苦手ですが…
> わ、お誘いありがとうございます。
> 理系でもなく工作もできない超不器用文系人間なので、できることといえば…イベントレポート書かせてください(笑)
> 一般ピープルの目で見て伝えることなら、私にもできそうです!

ああ、、、すっかりご返信が遅くなってしまいました。申し訳ございません。万が一まだこのコメント欄を見ていたら、ブログへメールをいただけるとうれしいです。。。イベントレポート、大歓迎です!!

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