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作り手を増やす

2012/10/24 Wed 02:28

失敗しても、批判されても、それでも正しいと信じ続ける事ができる価値は、本当に少ないんだなあ、と最近思う。
国際開発の世界だと、ことさら少ない。

例えば、シャンプー。
ユニリーバがインドの村々で、女性を雇用して、小分けにされたシャンプーや石けん、歯磨き粉を売るビジネスモデルはBOP(Base of the Pyramid)ビジネスの典型的な成功例としてよく紹介されている。
村の人はいままで買えなかったものが買える。せっけんやシャンプーで衛生状態も改善される。雇用も創出され、村の女性の地位も上がる。そして、ユニリーバも儲かる。なんてwin-win-winなんだ。
ーこういうストーリーは私もけっこう好きだった。

でも、例えば東ティモールの村に行って、そこにたった一つあるみんなの水汲み場がシャンプーの小分け袋のゴミだらけになっているのを見ると、ほんの少しだけ心がザワツく。本当にこれでいいんだっけ?

「本当に村の人はシャンプー必要だったの?いままで水洗いできれいだったのに、シャンプーしなきゃっていうマーケティングが行われて、『シャンプーしてない男の人は汚いわー』って女の子に嫌われちゃうようになっちゃうのが幸せ?」と突っ込まれると言葉につまる。たちまち「シャンプーを途上国で売るのは素晴らしい。」と手放しに言えなくなってしまう。

例えば、テレビ。
ブログの紹介のとおり、私は1台目のテレビが届けられる幸せが5台目のテレビが届けられる幸せより大きいことはけっこう強く信じてた。
「でも、そもそもテレビって幸せに必要なんだっけ?」と突っ込まれて、これまた急に自信が減ってしまった。

2010年に訪れた東ティモールの無電化の村に、去年、電気が通ったそうだ。
「昔は夕方になるとやることがなくなった若者が外で集まっていたのが、今はみんな家でテレビを見るようになりました。少し寂しい気もしますが、これが発展なんでしょうね。」
そんなくだりのメールをもらって、私もちょっぴり寂しい気持ちになった。
ほかに娯楽がない村では、みんなが集まってスポーツしたり、夜に広場で踊ったり、ただおしゃべりしたり、まあ要するに、先進国ではほしくてももう手に入らない「人とのきずな」を存分に持っていたから。
それがテレビに取って代わられるのは、本当に幸せなのかな?とこれまたちょっぴり思った。

「国が発展して、日本やアメリカみたいになったら本当に幸せなの?ほんとうに?ほんとーーに?」
そんな突っ込みを受けるのは、じわじわとつらい。
本当に心から信じていたら、そんな批判は気にもしなかっただろうに。
くやしいし、悲しい。

そうかといって、経済発展以外の目指すべきゴールも見えてくる訳ではない。
Gross National Happinessは素敵だけれども、正直、九州並の豊かな国土に70万人だけが住むブータン以外での適用には限界を感じる。
Human Development Indicatorはわかりやすいけど、「結局のところ、そういう福利厚生を買えるだけのお金がある国が勝つよね。やっぱりまずは経済基盤だよね。稼がなきゃね。」とすぐなってしまう。国際援助で支えられる部分ももちろんあるけれど、援助でそれが満たされることが本当にその国の長期的な幸せや自信につながるのか、と考えるとこれまた自信がない。

心にささった刺をいままでずっと無視し続けてきた自分を恨みつつ、うんうんと考えてみてはや3ヶ月。
かろうじて見つけた、私にとってのずっと信じられること。それは「自分で考え、解を出せる『作り手』を増やすこと」。

途上国にモノを届けることの善し悪しはよくわからない。たぶん良いものも、特に幸福度合いには影響のないものも、悪いものもあるんだと思う、というくらいしかわからない。
でも、目の前の問題を見た時に、「こうしたらちょっと良くなるかも。」「こんなの作ったら楽になるかも。」と思って、前に進む事ができる人を増やす。途上国で増やす。先進国で増やす。東ティモールピティレティ村で増やす。アメリカ西海岸で増やす。東京で増やす。東北で増やす。世界中で増やす。。。。
うん、これならいくらやっても害がなさそうだと信じられる。
しばらくの人生をかけてもいいかな、と信じられる。

SeeD Contestでは、今年もモノの作り手、募集します:
http://see-d.jp/application/

今年のテーマはものづくりによる現地との協業です。
こんなモノを途上国の人と一緒に作りたい。
こんな作り手を増やせたら楽しそうだぞ。
そんなアイディアを、プロダクトを、ビジネスの種を募集します。

ちなみに「作る」っていろんな行為を指すんです。米作りも、漬け物作りも、ケーキ作りも、俳句作りも、服作りも、ウェブ作りも、いす作りも、井戸作りも、テレビ作りも。。。だから、みんなが作り手です。

日本でも一人でも多く、作り手を増やせますように。
作り手のあなたのご応募、お待ちしています。
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