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ずっと整理したいと思いつつ整理できなかったBOPビジネスについて、現時点で思っていることを整理しようと思います。
まだ考えを構造化できていないのでQ&A形式で。

①BOPビジネスとはなにか?
まず、BOPとはBase of the Pyramidの略で一人当たり年間所得がPPP(年購買力平価)で3000ドル以下の世帯を指します。この定義については、世界的にコンセンサスがあるようです。
一方、BOPビジネスの定義となると、「BOP層向けのビジネスのこと」だの、「BOP層で行われているビジネス全般のこと」だの、「いやいや、途上国の社会的課題解決を第一義とするビジネスのことだ」だの、定義がいろいろ分かれるようです。
困った時のお上頼みということで、経済産業省のBOPビジネス政策研究会の報告書をひもとくと、BOPビジネスは「主として途上国におけるBOP層を対象(消費者、生産者、販売者のいずれか、またはその組み合わせ)とした持続可能なビジネスであり、現地における様々な社会的課題の解決に資することが期待される、新たなビジネスモデル」と定義されています。

②BOPビジネスは新しいのか?
「新しいビジネスモデル」と呼ばれるBOPビジネスなのですが、新しいというからには、これまでの企業の一般的なビジネス活動の中では見られなかった新規性があり、またそれは「BOPビジネス」全般に共通する特徴であり、総括して研究するに値するようなものであってほしいと思います。

そんな新しい特徴はあるのか。C.K.Prahalad、Stuart L. Hartなど、世界的権威のある研究者が「ある」と断言してここまでホットになったの分野なので、もちろん特筆すべき特徴はたくさんあるのだと思います。
が、それが十把一絡げに「BOPビジネスの特徴とは」といえるものなのか。すべてを貫く普遍的かつ斬新なセオリーがあるのか。個人的な感想ですが、それは違うんじゃないか、と思います。

結論からいうと、BOPと世の中で括られているものは、一般的なビジネス感覚でいったら、間違っても一緒に括らないような、全く異なる雑多なビジネス群の集合体なのではないか。そして、取り組むに当たって、明確に現状とあるべき姿を定義し、そこに至るパスを整理せずに、「BOPビジネス熱」に浮かされて「世の中の役に立つだろう」という軽い気持ちで始めたら、収益が合わないどころか、社会にとってもプラスのインパクトをもたらさないのではないか。そして、そのパスの整理の仕方は、実のところドラッガーがまとめた経営論でカバーできていない新しい原理原則はないのではないか。
少し乱暴な議論かもしれませんが、これからしばらく、上記の仮説に沿って、引き続きQ&Aの形で考えていることをまとめていけたら、と思っています。

・・・と、ここで筆を止めてしまう前に、一つだけ補足させてください。

③では、BOPビジネスは注目するに値しないか

それに対する答えは明確にノーだと思っています。

世界の課題解決の観点から言うと、貧困問題は、知らない国の無関係な問題ではなく、世界の安定と繁栄を脅かす、深刻かつ切迫した問題です。なぜ貧困が平和を脅かすのか。それは、人類の過去の歴史を勉強すれば自明なことと思います。過去と今の唯一の違いは、今、世界の距離は簡単には想像できないほどに縮まっているという点です。100年前、アフリカの貧困は日本の繁栄には無関係だったかもしれない。が、今は違う。
貧困問題の解決には、今よりももっとたくさんのリソース、それもお金というよりは知恵のリソースが必要とされています。もっとたくさんのユニークなアプローチが必要であり、たくさんの人の関心が必要です。
BOPビジネスに括られる諸団体の一部は、貧困開発のユニークなアプローチの一つとして、確実に貧困課題の解決に貢献しています。

ビジネスの観点から言うと、新興国・途上国のシェア取り込みはどんなグローバル企業にとっても、トップ3に入るアジェンダではないかと思います。勤めていたビジネスコンサルティングの会社には、「Strategy Practice」なる、ビジネス戦略に特化して研究する部会がありました。その戦略プラクティスのトップが、ビジネス戦略の極意として開口一番に言ったのは、「成長しているマーケットに身を置くこと」でした。国のGDP成長率をしのぐ成長を一企業が成し遂げるのは、どんなに素晴らしい戦略をもってしても簡単なことではありません。
これから成長が見込まれる途上国のビジネスに取り組まないのは企業にとって死活問題です。
企業のビジネスポートフォリオの一部として、「BOP層」をターゲットとしたビジネスを考えるのは、おそらく必須なことだと思います。

繰り返します。私は、BOP層は、社会的にもビジネス的にも、大変注目に値すべき層だと思っています。
が、「BOPビジネス」は、それ自体が目的ではなく、あくまで社会問題解決、もしくは企業の成長の、手段の一つとしてもっとシビアに検討されるべきなのではないか、と思うのです。
例えば、貧困問題の解決が目的なら、政府の政策介入よりも開発機関の開発プロジェクトよりもNGOの活動よりも、本当にBOPビジネスが最適な解決手段なのか?内容の吟味もせず、「無償援助はダメで、BOPビジネスは素晴らしい」と言っていないか?
ひるがえって、企業価値の最大化が目的なら、本当にお情け程度のCSR活動や、政府のODA資金にベッタリのビジネスモデルや、いつまでも高コスト体質に縛られて「国内の工場が閉められないから、新興国向けのビジネスは採算が合わなくてできません。」という状態でいいのか。例えば、中国人口の約3分の1、インド人口の約8割が1日2ドル以下で生活している中、本当にそういう消費者はさしあたり無視します、でいいのか?

まとまりませんが、こんな問題について、いくつかのエントリーに分けて、書いていければ、と思います。
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1ヶ月余りの日本滞在を終えて、一つの結論に達した。
途上国向けビジネスを考えるのに、日本発にこだわるのはもうやめよう、と。

会社の卒業生の方にBOP(Bottom of the pyramid)向け商品開発の相談をしていたときのこと。
「できれば日本の技術を生かして」と話したら、
「なぜ?日本ほど途上国から距離が遠くて、リスクをとるのが嫌いで、おまけに寄付への税制優遇もなく、ベンチャー投資も集まりにくいところも少ないのに?」と突っ込まれ、ぐうの音も出なかった。

ある投資会社の方と話をしていたときのこと。
日本の高度経済成長を支えた会社を上り詰めた方が、辞めて始められた投資会社だったのだけど、会社を辞めて日本社会を眺めてみたら、驚くほど次のトヨタ・ソニーになるような会社が日本にないことに落胆をしたそうだ。
そこで、これからは日本で培った知・技術・資本を、発展著しいアジアに投資しようと、アジア発の会社に資本注入をしているとのこと。
「それじゃあ日本はどうなるのですか?」とつい聞いてしまったら、
1.日本の資産(お金にしろ知財にしろ)は、最も伸びる市場で運用されることでリターンが最大化される
2.日本でのイノベーション促進のためには、日本に世界の声を取り込む、すなわち日本というプラットフォームに世界の知であり、ニーズが集うようにすべきで、日本人だけで集まっていても、今の世界に適したイノベーションは生まれない
と言われ、またもぐうの音も出なかった。

日本で起業家育成を行っている方も、日本でBOPビジネス促進を手がける方も、まるで申し合わせたように、日本から海外に飛び出すようなベンチャー・中小企業がいかに少ないかを嘆いている。このままだと、この国の10年後はどうなってしまうのだろう、と本気で嘆いている。
状況を変えるために、いろいろと促進策を試してみる。ビジネスプランコンテストだったり、シーズファンドの供給であったり。それは政府もとてもがんばっている。
が、状況は変わらない。足りないのは、ひょっとすると表面的な「目に見える仕組み」ではないのかもしれない。

「どうやったら、日本は変わるのでしょうか?」との問いに、複数の方が、日本の枠を外れて世界で活動する人が増えること、先行事例がより多く作られること、と答えた。
ずいぶんと飛躍がある答えだが、皆さんの真剣な顔つきから、その答えはとても本質に近いように感じた。


逡巡の末、「もう日本にこだわるのはやめようと思います。世界を見渡して、自分が解決したいと思う課題に忠実に、課題解決に最も効率的な方法で、世界からリソースを調達してみようと思います。」というような話を、人生の先輩のKさんにしたら、深くうなずいた上で、
「世界を救うのに日本を救う必要はないが、日本を救うのに、世界を救う必要がある」と言った。
(あまりに言い得ていて、思わずノートに書きとめてしまった。)

考えてみれば、日本の問題を解く鍵が、日本の中にないのは、当たり前のことなのだ。
資産運用にしたって、モノを売る行為にしたって、成熟しきった日本市場から外に目を向けて、これからの成長市場に振り分けないことには、十分なリターンも得られない。
社会的な課題解決にしても、日本の安全保障・豊かな環境を脅かす危険因子は、国内よりもはるかに海外に山積している。
日本が今後も豊かさを保つためには、(おそらくたぶん)世界のニーズに応え、世界の課題解決に取り組むことが、めぐりめぐって一番の近道なのではないだろうか。日本のことを一旦忘れて、世界のことを最優先で考える日本人が増えることが、最後は日本の国力につながるのではないだろうか。


もちろん、日本国内にも課題は山積みであることは重々承知しつつも、こと途上国向けビジネスについては正しい方向性な気がする。私自身の将来の身の振り方はいったん置いておいて、さしあたり「日本」という制約を方程式からはずして、目の前の課題に取り組んでみようと思った今日この頃。






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最近、私の中でAppropriate Technology(適正技術)なるものが熱い。

渡米以来、縁あってMITのD-Labという途上国向けのものづくりを教える授業にかかわっているのだが、聞けば聞くほど、この授業が推進する「Appropriate Technology」は、日本でコンサルの仕事をしていた時に感じていた問題点に応えている気がしている。

Appropriate Technologyとは、テクノロジーが使われる現場の社会的・環境的・文化的要素を考慮したうえで、その場に最もフィットするテクノロジーを開発するという、いわばエンジニアリングの原点に立ち返るようなコンセプトの分野だ。
当たり前のことを当たり前にやるというこの分野が別枠でくくられているのは、たぶん環境であったり、途上国の社会益向上であったり、経済原理の外枠にあるものを考慮の対象に含めているからであり、またSocial Responsibilityなるものが大いに流行った事で、有名大学や大手企業がこぞって取り組むようになったからだろう。

それが工学分野として革新的なものなのか(途上国の地元の大工さんがものづくりに一工夫加えるのと、MITの学生がアフリカに行って手作りポンプを開発するのではなにが本質的に違うのか)という点については議論の余地があると思うが、少なくともその教育的な意味合いはとても大きいと思う。

まず、適正技術は、「利用者のニーズに合わせて、そこから逆算してモノを作る」という姿勢を半強制的な形で学生に教えることができる。

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コンサルティングの会社でも、UNDPでも、製品のマーケティングの仕事に多くかかわってきた。

※意外に思われるかもしれないが、マーケティングの要は実は商品が作られる前の段階にある。顧客調査等を通じて見えてきたニーズに応える商品が作れるか否か、でほとんどの勝負は決まり、その後の広告宣伝や販売戦略はもちろん超大事なのだが、最後は商品力がなければ、どんな製品も売れない。(商品力があっても、販売戦略の失敗によって売れなかった話は山ほど聞くが、商品力がないのに、販売戦略が功を奏して大ヒットを飛ばした、という話は聞いたことが無い。)

仕事を通して一番もどかしかったのが、商品開発を行うエンジニアの思考が、どうしても技術から出発してしまう点だった。
顧客のニーズを聞かないわけではない。真剣に参考にするし、ニーズに合わせて、スペックや価格の調整を最大限しようという姿勢はひしひしと伝わってくる。
でも、発想の根幹となっているのは、やっぱり「X,Y,Zという技術を使い、○○な製品を作る」というおおまかな設計図であって、一旦、製品の青写真を全部作ってから、消費者調査をして、あまりに駄目な商品はふるい落として、残った商品は顧客からのフィードバックを織り込んで改善して売り出そう、という姿勢で製品作りは行われている。
そのものづくりのプロセスと、顧客の声に基づいて、ゼロから青写真を考えるというプロセスは、似ているようでいて、根本的に違う。うまく言葉にできなくてもどかしいが、絶対的に違うという確信がある。そして、その違いは悲しきかな、商品力の差になって現れる。
個人的に、イノベーションは本来、顧客ニーズを見つめ続けて考え抜く作業の中にこそあるのではないかと思っている。プロダクトアウトで成功している製品も、すべてはこの作業から出発しているのではないだろうか。
日本の電機メーカーが不況な理由はいくつもあるが、そのうち一つは、この「顧客のニーズを見つめ続けて考え抜くイノベーション力」が衰えたことにあるのではないだろうか。
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回り道になってしまったが、そんな課題を感じていたため、この適正技術の教育的効用にはいたく感動した。
途上国では、技術者主導でものを考えてられないほどにぐんと制約条件が増える。そもそも圧倒的にコストが安くないと売れない上に、劣悪な環境にも耐えられるような丈夫な作りになっていないといけない。電気がない地域もあるし、使える材料も限られる。せっかく良い製品が作れても、現地の風土に合ってないと、全く使ってもらえない可能性もある。

そんな制約下で、考え抜くことを強制された学生は、社会に出て何百倍も複雑な製品を作ることになっても、ものづくりの原点を忘れないでいられるのではないだろうか。そうしたら、ゆくゆくは日本の商品開発力も向上するのではないだろうか。

そんな壮大な妄想をふくらませつつ、今日も心ひそかにAppropriate Technologyの可能性に熱くなっている。


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